時代劇と風俗考証 二木謙一

時代劇と風俗考証―やさしい有職故実入門 (歴史文化ライブラリー)

時代劇と風俗考証―やさしい有職故実入門 (歴史文化ライブラリー)

大河ドラマなど、湯水のように予算を使っているのかと思ったら、意外に制約があって、直衣が揃わず前太政大臣に狩衣を着せたり、後白河上皇の車副八人の本来の装束・褐衣が揃わず白丁八人にしたりとか、苦労があるようだ。▽軽装が許されるのは身分の高いほう(男性の冠直衣・夏の女性の単袴)とは、わかるような。衣服の色や種類・被り物(冠・烏帽子)・車の種類・車副の数など、身分によって厳然と分けられている社会は、まさに人「種」が違うという意識を意識的にも無意識的にも?植えつけられるだろう。▽日本の軍馬は元来、たてがみを短く切って結んでいたとか、右から乗っていたとか、高貴な女性が耳を出すのを下品として嫌っていたのが、耳を出すようになり=上のほうでまとめるようになり、やがて髷になっていったなど。▽戦国から安土桃山・江戸初期にかけては、十年ごとくらいに大きく変化した、というのも、いかにも時代の激動が風俗にも反映しているようで興味深い。