今ここにいるぼくらは 川端裕人

今ここにいるぼくらは

今ここにいるぼくらは

「胸の穴」「ぼくの居場所はここじゃない」という言葉が出てくる「Ⅴ影法師の長さが少し違う」が、この短編集のバックボーンにある。子どもだって、いや子どもだからこそ精神的な葛藤がある。福ちゃんのサンペイ君への態度しかり、サンペイ君の山田さんへの態度しかり。そうしたものを受けとめて乗り越えていく、成長物語の短編集だ。ただ最終話「Ⅶ王子様が還り、自由の旗を掲げる」は、好みではない。