「無為(ぶい)」(穏便な処置)と「
外聞」という二つの言葉が
室町時代の政治を理解するキーワード、ということのようだ。また
荘園領主たちが、不知行(由緒はあっても現在は領有していない土地)を手に入れるために守護請けを悪用したり、守護請けでない代官(禅僧が登用され「荘主(しょうす)」と呼ばれた)の場合、相場が立った、などの
荘園領主たちの統治者意識の欠如、分一銭の徴収(徳政の対象者からその一割を幕府に納めさせる。納めなければ倍付け・債権者が免れるためにも倍付け)やあ、贈答をあてにした財政運営などまさに破綻した国政のさま(著者は、ツケを後代に回している現代の為政者と比較し、一概に批判できないとしているが)も活写されている。