希望格差社会 山田昌弘

希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く

希望格差社会―「負け組」の絶望感が日本を引き裂く

日本の教育システムを、職業選択の自由という社会における緩やかな振り分けのパイプ、というとらえ方は秀逸。受験戦争は受験勉強の内容ではなく、努力すれば報われるということを認識させる効果があり、学歴による振り分けは緩やかにあきらめる効果を生んでいたと。そのパイプの不全=努力しても必ずしも報われるとは限らない就職プリズム、パイプからこぼれた層=フリーターを使い捨てにする前提で成り立つ経済構造。傷つくことを拒む心象。結婚、就職、それぞれの選択がそれぞれのリスクを生む社会。著者の提唱する通り、「機会だけ与えて結果は知りませんよ」では通らないのだろう。ある程度の保障をつけねば。