あの日にドライブ 荻原浩

あの日にドライブ

あの日にドライブ

確かに、人生の現実は偶然の選択の結果である。それをやり直せたら、というのは、果たしていつからやり直せばいいのか、というところまで遡るし、やり直した結果が果たしてよくなるか、定かではない。恵美の「凄絶な」笑顔が、果たして夢に繰り返し出てきたように。かつての上司とのシーンは、それまでにじゅうぶん描いてもらったから、ややダメ押し感が強い。ダメだからいい、という考えもあろうが、やはり手数は少ない方が(中押しで勝った方が)スマートでしょう。ところで、高橋和巳が、青春について書いていたのを思い出した。もう一度やり直してもいいと言われても二度とやり直したくない、という趣旨。初めて読んだときは、自意識過剰かと思ったものだが。