私という運命について 白石一文

私という運命について

私という運命について

すばらしい。タイトルに今一つひけていたが、「雪の手紙」でタイトルがもったいないな、という気になり、「黄葉の手紙」で気にならなくなり、「雷鳴の手紙」でこのタイトルしかないではないか、というふうになる。「愛する人の声」は、ややお約束だったが。背景として並行して描かれる政治経済情勢(失われた10年というやつか)や、それに伴い、手紙では不自然な時代に「声」で表現するあたり、見事。食べ物の描写も惹きつけられる。でもやっぱり、純平は、ひどいやつだと思う。