戦国大名の危機管理 黒田基樹

なんとなく、旧弊・保守的というイメージの強い後北条氏(検地など相当「先進的」だったとは最近読むようにはなったが)だが、北条氏康が、飢饉や武田信玄の侵攻などの危機に対し、公事免除や徳政令民兵動員を行った経緯を紹介している。そのキーワードが「村の成り立ち」。再生産のために年貢を免除し、撰銭を緩める。村の平和を維持しているのが戦国大名、という「御国」論理からの民兵動員。軍役を治水などの工事に振り向けるところ、地方知行制の廃止など江戸大名の体制につながるものを見ている。