室町小説集 花田清輝

室町小説集 (講談社文芸文庫)

室町小説集 (講談社文芸文庫)

それほど感心しない。『画人伝』での義政の評価など、とうてい首肯できず、どうかと思う。谷崎潤一郎の『吉野葛』に刺激を受けてというか、揶揄するような感覚での連作集。吉野・大台ケ原の住民や、権力者の近くで距離を置いて斜めに構える画家や公家などの視点から、義教から義政にかけての室町時代の諸相を描いている、というところか。