少年裁判官ノオト 井垣康弘

少年裁判官ノオト

少年裁判官ノオト

タイトル通り、少年事件に関する内容がほとんどだが、印象に残ったのは「同席調停」。まえがきでの「井垣の少年審判モデル」に通じる、要は、加害者対応を調査官に任せきりにしないで、裁判官も関わる、加害者と被害者が向き合うことで被害者の痛みを実感させ被害者は少年司法からの排除感から多少なりとも救われる。通読して感じたのは、明るいエピソードの中に見え隠れする加害者とその親の、どうしても今後の処遇ばかりに頭がいってしまって被害者のことが後回しになりがちな傾向である。それでも前向きに取り組まないと、修復的司法、骨が折れる井垣モデルはやってられないのだろう。