いなかのせんきょ 藤谷治

いなかのせんきょ

いなかのせんきょ

やや人物が類型的・単純な描き方ではあるけれど、これはこれでいい。まじめ正直な堅物の村議がひょんなことから村長選挙に祭り上げられてはしごを外され、村の有力者を向こうにまわして、家族の支えとこれまで培ってきた信用で村長職を勝ち取る。どたばたの背景として、平成の大合併や高齢化、財政難など地方の抱える課題を描き、都会の発展と田舎の発展とを対比させていく。また清春の母親がいい。快作。