中世の天皇観 河内祥輔

中世の天皇観 (日本史リブレット)

中世の天皇観 (日本史リブレット)

目から鱗とはこのことか。▽「代」と「世」。皇位はたまたまだが、「正統」(しょうとう)たりうるのは、神の意思と人の心がけ、そして臣下「侍殿防護の神勅」。▽悪い天皇を退けるのは臣下のつとめでありそれが神の心にかなう、という思想=貴族の思想が承久の乱での鎌倉方勝利につながった。後鳥羽に代わる正統としての守貞の存在。頼朝が後鳥羽の土御門への譲位の際、守貞を推し、その後の後鳥羽との関係修復において守貞排除に動いた大江広元。それが西園寺と組んで、新たな正統として守貞を立てる。▽皇位は最も最近に正統と認められた天皇の子孫に限られ、その観点からも足利義満平将門皇位を狙うことはありえないと。幹と枝葉か。