武士と荘園支配 服部英雄

武士と荘園支配 (日本史リブレット)

武士と荘園支配 (日本史リブレット)

▽「流通体系の把握」で、長嶋荘高橋(佐賀県武雄市)が潮汐の限界点に館を構えると、干満にのせて比較的簡単に内陸まで物資を運べるということは、盲点であった。「内陸港津であるが海の力で機能した」。市はさらに下流に位置して小潮でも大丈夫なようになっていたようだ。▽武士がカンパニーとして、工業や商業・興行などを支配して被差別民との関わりの深さを語っている。しかしその一方で、後醍醐天皇や義仲と対決したときの後白河法皇が頼ったように、反武士勢力も被差別民を組織している。「武士団はかつての仲間を切り離し、残酷な賎視のなかに投げやった。武士自体は『脱賎』に成功した」がしめくくりだが、わかるようでよくわからない。