ひとがた流し 北村薫

ひとがた流し

ひとがた流し

全国転勤のあるテレビ局はNHKがモデルか。せっかく「向かって右」を獲得したのに、その刹那、死病にとりつかれる。やるせなさ。中年にかかった、それなりに山・谷越えて引き続いた友情の固さ。自分が大変な状況にありながらも友人の娘の大事を気遣う強さ。『四つの嘘』の世界も本当なのかもしれないが、この小説から感じられる人生の確かさのようなものは、比べものにならない。