心にナイフをしのばせて 奥野修司

心にナイフをしのばせて

心にナイフをしのばせて

被害者の苦しみを時が癒すことはない(例外もあるかもしれないが)。ひたすら逃避することで自らを守る母。おそらくその母を守ることで自らを保った父。反抗することで自らを支えた妹。事件がなければ。その事件を起こした当人は賠償責任は父親に押し付けて、自らの専門知識を武器にあわよくば50万円を貸し付けることで全ての法的責任を免れようとした。確かに、彼は更生したのかもしれないが、真の更生は謝罪してからだ。しかし、『天使のナイフ』のラストとの相似(Aは少女趣味ではないようだが)には少なからず驚く。