風の影 上・下 カルロス・ルイス・サフォン

風の影 (上) (集英社文庫)

風の影 (上) (集英社文庫)

風の影 (下) (集英社文庫)

風の影 (下) (集英社文庫)

クーベルトの正体がわかったのは、「風の都市」もほぼ終わりかけ、最後の三十一節に入る直前だ。これが早いのか遅いのかはわからん。早かったとすれば、これまでの読書経験からの小説作法からの推測であり、遅かったとすれば、読書経験が足りないか
ぼんくらだからか、小説の出来がすばらしいか、だろう。二重構造が破綻せず、そして、本というものへの限りない敬意、スペイン内戦のもたらした癒しようのない傷痕とそれでもそこに生きる人々。フメロの悲しさ・寂しさ、その裏返しの残忍さ。