フランスの中世社会 渡辺節夫

中世フランスが、領主権や教会の関係で分立的で相互牽制的な社会であったということだろう。著者は「複数臣従関係」(ドイツ語でDoppel vasallitaet)を「二君に見えず」とする日本では考えられないこと、とするが、そんなことはない。日本でも「兼参」というものがあった。著者はヨーロッパ中世が時代によりさまざまで本書の取り扱い期間や地域をを定めている割に、同様に院政期から(早いか)江戸にわたる日本の封建制の一現象と単純に比較しているのはどうか。