平安京のニオイ 安田政彦

平安京のニオイ (歴史文化ライブラリー)

平安京のニオイ (歴史文化ライブラリー)

溝にあふれる汚穢、災害や飢饉での行き倒れはともかく、火事による焼け焦げた臭いや逆に建築される邸宅の白木の匂いというのは、ちょっと盲点か。動物は確かに犬、牛馬はあろう。そして平安貴族は緑に囲まれた邸宅で薫香をたきしめた中で暮らしていたわけで、庶民とは感じる匂いも違っていたのだろう。ニオイ(さまざまな漢字があてられる)にも所属する身分・階層によってある程度の差はあるのだと感じた(著者の狙いは、逆のようでもあるようだが)。