受領と地方社会 佐々木恵介

受領と地方社会 (日本史リブレット)

受領と地方社会 (日本史リブレット)

▽やはり興味がもたれるのは流通機構だ。受領は納所(なっしょ)を京に置き、租税を一時保管して在京目代ともいうべき弁済使に管理させている。納税請負であった受領にとって、納所と弁済使は蓄財の鍵を握る存在であった。▽また受領の任期終了に行われる受領功過定(こうかさだめ)は出席公卿の全員一致が原則の御前定(ごぜんさだめ)で行われ、個別の公卿との個人的な確執(伊予介藤原広業と中納言行成)も反映される。国司監察制度として重要な意味を持ち、公卿の出席率もほかの政務よりも良好だったという。