最愛 真保裕一

最愛

最愛

当初うさんくさそうだった千賀子の人柄が、「僕」の調査が進むにつれて次第に共感できるものに変わっていき、親切だった従兄弟たちや小田桐を支持する商店街の人たち・栄建設の人たち(いわゆる健全・常識な集団に属している)との対比を通じて、姉とは違う、幸福な人生を歩いているのが偶然であると自分自身を振り返る。調査につれて伊吹正典の像が見事に変わっていくのは見事だ。いい小説だとは思う。ただ、なぜだろう。今ひとつ入り込めなかった。なぜだろう。