盗聴二・二六事件 中田整一

盗聴 二・二六事件

盗聴 二・二六事件

討伐直前の29日未明の高橋大尉と上村軍曹の電話やカラオケ後の上村氏の述懐、盗聴を前提としたキタを名乗る謀略ニセ電話など、迫力に満ちた内容。盗聴するだけでなく、軍法会議の資料にする前提で北一輝を資金援助する黒幕に仕立てようというものだ。事件直後の陸軍上層部の腰のすわらなさもよくわかった。こうした定見のなさが、下にそれなりの使命感すら持たせて無差別に盗聴に走らせたのではないかとも感じた。30年近く前の最初の番組の成果か、次の番組の成果か、その後の取材か、最近わかったことか、その区別が明確でなく(大半が最初の番組がらみなのであえて区別していないのかもしれない)、その点がややわかりにくい。最初の番組などほとんど覚えていないから、全て初見と思って読めばいいのだろうが。