自壊する帝国 佐藤優

自壊する帝国

自壊する帝国

情報の世界に身を置いて、信義を通すということを守り抜いて多くの情報源からの信頼を勝ち得た著者のような外交官を葬ってしまったことは、日本という国家にとって大きな損失だろう。サーシャ・ポローシン・シュペードなど、民主派の堕落・転向を愛惜を込めて描きつつ、イリインという節を曲げずにアルコールで自己崩壊した「守旧派」に限りない共感を寄せている。旧ソ連の監視体制は、しかし、壮大なムダというか、いくら金があっても足りないだろう。秘密警察の予算で国がつぶれたんじゃないかとすら思ってしまう。それでも帝国の自壊は止められなかった。