口語訳古事記 三浦佑之

口語訳古事記 完全版

口語訳古事記 完全版

語り、という文脈から、日本書紀とはまったく別の観点から構成された歴史書として古事記をみる。それはわかった。しかし、ならばなぜ本居宣長までほとんど忘れられた書だったのだろう。そちらの疑問は残った。天皇にとって必ずしも都合がよくないからか。本居宣長らの国学が(ゆがめられたかどうかはともかく)近代天皇制のイデオロギーになったのでは?▽スサノオヤマトタケル・ワカタケルと繰り返される暴虐ぶり、スサノオオオクニヌシの文化英雄としての位置付け(ヤマタノロチは暴れ川=自然の象徴で、酒を使って酔い潰す、ウサギを治療するなど)がおもしろい。▽ヤガミヒメは「日本最初のラブストーリー」などと地元・鳥取市では観光PRしているようだが、嫉妬深いスセリビメをおそれて子どもを置いて逃げ帰ったというエピソードは初めて知った。