永遠のとなり 白石一文

永遠のとなり

永遠のとなり

幼なじみをこれだけ美しく描いた小説は初めて読んだ。40代後半、初老といっていい年にさしかかった欝病の「わたし・せいちゃん」と肺ガンの「あっちゃん」。東京で大手損保の管理職あるいは経営コンサルタントとして一線で働いていたのが、故郷福岡に帰って暮らす。表題の「永遠のとなり」とはラストで描かれるようにもちろん「せいちゃん」にとっての「あっくん」なのだが、一方で、欝病の原因ともなった自分が嫌いな自分自身のことを指しているのだろうと感じた。