露の玉垣 及川優三郎

露の玉垣

露の玉垣

武士の意地と経済的困窮さとの間の生きざまがしみじみと描かれている。やや美文調な文体が鼻につかないでもないけれど。似たような名前の登場人物が多く登場し、多少混乱もしてくる。物語の時間軸が最後に戻ってくる構成になっているが、たとえばリレー式につないでいくという手法「誰それが死んで何年経った。新発田では・・」というような。ほとんど淫して読んだ『物語イタリアの歴史』で皇女や聖者・皇帝・文豪をいきいきと描いた筆法だ。