幕末下級武士の絵日記 大岡敏昭

幕末下級武士の絵日記―その暮らしと住まいの風景を読む

幕末下級武士の絵日記―その暮らしと住まいの風景を読む

ほのぼのとしたタッチの絵に、石城のやさしくユーモアを解する人柄がにじみでている。厳しい身分制社会という印象の江戸時代だが中・下級の武士や僧・町人との密接な交際ぶりにやや意外ながらも心温まる。著者は背景として、道に面して表庭を設ける、訪れる人を大切にする家の造りを、現代の南偏重の造りを批判しつつ称揚する。たしかに風通りはいいだろう。「北の窓を明けると、そこから見える草花はこちらを向いている」。いいね。