装束の日本史 近藤好和

▽公家は基本的に束帯という同じ様式の装束を着用して色や材質で身分の上下を表していたのに対し、武家は装束の様式で身分を区別した。▽束帯における身分制は二重構造。上着(位袍)の色は律令本来の位階制に基づくもので下位者には決して勅許されなかったのに対し、下着(表袴・下襲・半臂)の禁色は、9世紀末以来の新しい身分秩序である公卿以上・殿上人以下の区別であり、禁色は勅許があれば殿上人以下でも着用できた。上着で本来の身分を表示し、上着からはみ出す下着によって禁色勅許者、つまり特権者・天皇との関係の深さを示した。▽矢羽は矢を旋回させる矧ぎ方の三立羽と四立羽とがあり、射切るという機能を持つ狩り矢では四立羽、細長い鏃を深くえぐり込ませる征矢では三立羽だそうである。