邪魔 奥田英朗

邪魔

邪魔

すばらしい。横領の証拠をなくそうとした計画的なボヤ放火が、暴力団と警察と企業の対立と癒着の構造を明るみに出していく。脇筋のパートの労働条件改善闘争での市民運動の欺瞞性(共産党ではないらしいことは、「市議選」うんぬんから想像がつきはじめたが)を、ほとんど地回り同様のタチの悪さ(自分たちが正義と信じているからなお始末に悪い)を描いておもしろい。本筋と直接関係はない、こういう脇筋が充実している小説は、読み応えがあって、本当にいい。