小泉政権 内山融

小泉政権―「パトスの首相」は何を変えたのか (中公新書)

小泉政権―「パトスの首相」は何を変えたのか (中公新書)

「時間軸」という視点が新鮮だった。つまり総理・総裁を目指し長期的な時間軸で子分を増やし派閥や族議員や官僚との貸し借りで動いてきたこれまでの政治家と異なり、権力資源を世論の支持という形で政府の外部から調達していた小泉は短時間軸戦略で妥協や調整を排し、「非情」に徹することができた。それに政治改革で用意されていた小選挙区制や政党助成金内閣府の機能強化などの制度的要因があわさって小泉の強力なリーダーシップが発揮された。その背景に、経済財政諮問会議と竹中の存在の大きさそれのなかった戦略なき外交との対比も興味深い分析だった。