バルザックと小さな中国のお針子 ダイ・シージエ

バルザックと小さな中国のお針子 (ハヤカワepi文庫)

バルザックと小さな中国のお針子 (ハヤカワepi文庫)

文革に伴う下放がなければほとんど出会うことがなかったであろう都会の医師の息子たちと農村の仕立て屋の娘。バルザックが開いた可能性と世界。娘に教授することで光源氏的な快感に浸っていたであろう羅が「小裁縫」から受けた仕打ちは、文学作品の力は普遍的なものであって知識を持っている者が独占できるものではなく、表現は適切でないかもしれないが、「いい気」でいた者に対するしっぺ返しなのかもしれない。