夜逃げ町長 杉浦明平

夜逃げ町長

夜逃げ町長

「ノリソダ騒動記」や「町会議員1年生」が収められた『杉浦明平著作選』(講談社文庫)や『台風十三号始末記』(岩波新書)は、学生時代の愛読書だった。表題作は、その20年後くらいに相当するのだろうか。「反対派の川口務議員」という表現で別に共産党議員がいるところからすると、「務青年」も離党しているのだろう。農村部の「ささやかな」利権と権力をめぐるごたごたを醒めたタッチで描く手法は健在で(と言っても90年の本だし、著者も亡くなっているけど)懐かしかった。