不動産は値下がりする! 江副副正

これはリテラシーを試される本だ。「値下がりする!」と言い条、実は、ゾーン変更・容積率や斜線などの規制緩和礼賛である。供給が増えれば価格が下がる、という単純な論理であるが、実は緩和すれば利用価値は高まるから地価は上がる。円キャリーや国債大量発行に伴う金利上昇(債券下落)による土地バブル崩壊局面は、それなりに説得力はあるが、要するに、上るべき所は上がる、と言っているに過ぎない。江副氏が本気で下がるべきだなどと考えているはずはないのだ。もちろん首都圏や関西圏で、なんとなく上がっているところもあるだろうが、日本の大部分は江副氏に心配されなくても上がっていない。都心の持ち家率は国際的にみても高いというが、比較がニューヨークのマンハッタンとかロンドンの旧市街とか明確なのに日本の方は「都心」と漠然としている。都心3区のことか。そこまで広範囲にすれば持ち家率はかさ上げされよう。統計の比較のし方もあやしくなってくる。