心に龍をちりばめて 白石一文

心に龍をちりばめて

心に龍をちりばめて

自殺を考えた高校生時代の美帆が、再会した優司に言われた言葉、「魂は心の一粒一粒に入っている」がタイトルになっている。静かに感動が広がってくる、白石一文らしい期待通りの作品。丈二と別れることを決意した美帆と丈二の出自をめぐるやりとりの迫力。壮絶な体験を持つかすみ。登場人物が、「敵役」である母の早苗と丈二の母みどりも含めて、美女ぞろいという設定が、美しさとやりきれなさの効果をあげている。