虐待の家 佐藤万作子

虐待の家―義母は十五歳を餓死寸前まで追いつめた

虐待の家―義母は十五歳を餓死寸前まで追いつめた

結局、なぜ少年は逃げ出さなかったのか、という謎は残ったままである。愛情を求める表現として、「世話にならん」または、こんなに痩せてしまった、心配して、といううちに動けなくなったということなのか。理想の母親になろうとしてしつけようとして始めた食事抜きが、いつの間にか、そこから抜け出せなくなってしまった義母と少年、そして無関心極まりない実父。義母はやはり精神にどこか異常な点があるようで、その手記や面談を掘り下げて迫られても、結局はよくわからない、というのが読後感だ。労作だとは思うけれど。