無間道 星野智幸

無間道

無間道

相当な迫力。実はよく理解できないのだが、そう表現せざるを得ない。「束横線」「捕和」「目吉」など地名を現実と微妙にずらし、作品ごとに登場人物の名前を微妙にずらしていることが不安感のようなものをかき立てる効果を出しているのかもしれない。表題作と「煉獄ロック」「切腹」の自殺をテーマにした連作。表題作では、人は再生するために自殺する。自逝は自生。その遺体(作中では「逝体」)は、処理しても処理しても増殖していく。「煉獄ロック」では、生殖まで完全に管理された社会が描かれる。80歳以上が住む「自由居住区」の悲惨だがある種開き直った逞しさと、その先にある紛争地帯。「切腹」だけが現実の高校の世界が舞台であり、いじめと自尊心、異性への憧れと自殺欲求が描かれる。