ブラックペアン1988 海堂尊

ブラックペアン1988

ブラックペアン1988

シリーズの登場人物の若き姿が微笑ましくも懐かしいが、そうした要素を抜きにしても傑作だ。人を助けるという医師として最優先すべきことが、後回しとまではいかないが別の要素も絡んでくる大学病院の状況。新しい器械についての佐伯と高階の会話、すなわち、職人技を持っていなくても誰でもできることにしても、失敗を回復するためには、職人技を持っていることが前提となる、という矛盾は重い。