ゴールデンスランバー 伊坂幸太郎

ゴールデンスランバー

ゴールデンスランバー

『魔王』でどうしちゃったんだろうと思わせた作者だが、これはいい。監視社会の中、友人たちが、かつての恋人が、時によんどころなく裏切ったとしても手を差し伸べる。そして「キルオ」の存在が、善人たちだけでは決して切り抜けることができない危機を切り抜けさせてくれた。宅配便業界などディテールをしっかり描いていること、セキュリティポッドが決して万能ではなく限界があることなどの描き方がリアリティーを失わせない。ラストもいい。