モサド前長官の証言 エフライム・ハレヴィ

モサド前長官の証言「暗闇に身をおいて」

モサド前長官の証言「暗闇に身をおいて」

緩衝国家としてのヨルダンの地位、中東から離れて密接なかかわりをもつモロッコなど、複雑な中東情勢の裏面史という側面と、諜報のプロとして、政治とどう向き合ってきたかが描かれている。14章「情報の政治的操作」。首相が諜報3部門のトップをいきなり閣議に呼んでアラファト追放を提案し、3人の反対を受けて、最後に撤回する、という出来事の分析として、そもそも追放する気はなく、追放しなかったことが失敗だったとしても諜報のプロの反対意見を支持する閣僚を動かすことができなかった、と記録されると。18章「外交」の、アルカイダは交渉相手たり得ないが、ハマスヒズボラについての可能性を示唆するあたりは、アフガニスタンにおけるアメリカとタリバンビン・ラディンとの関係を考えれば、実に意味深く感じた。