私の男 桜庭一樹

私の男

私の男

「欠損家庭」。嫌な言葉だ。実父が養父になって娘を引き取り近親相姦という、きわめてどろどろした話を不潔感なく描いている。花と淳悟だけでなく、美郎や小町の視点も入れて、異常な父子の他者から見た姿をいれているのも効果的。北海道南西沖地震で被災し、「家族」を失った花が淳悟に引き取られ、養子縁組して新生活をスタートさせる最終章「花と、嵐」が前向きで、救いのある読後感としている。