月芝居 北重人

月芝居

月芝居

中堅旗本(参勤交代がある)の江戸留守居という、庶民とも大藩の留守居とも付き合いのある設定で、無理なく天保の改革のひずみに伴う市井の事件をつないでいる。事情を知らない国元からの無理な催促に憤り、、居候先の分家との付き合いに悩み、幕閣へのわたりの付け方に苦労する宮仕えの辛さと、一気に事件の解決へと突き進む第4部の緊迫感と、なかなかの傑作だ。