メフェナーボウンのつどう道 古処誠二

メフェナーボウンのつどう道

メフェナーボウンのつどう道

傑作に巡り合った、という感じだ。メフェナーボウン=仮面をつけなければ、あるいは仮面をとらなければやっていけない逃避行を、従軍看護婦の姿を通して描く。無言で死んでいく兵士の心情を「死ぬときには後ろめたさしかない。せめて手を煩わせずに死にたい。集団から離れる人間が無言を貫くのは、感じる恩義が大きいから」という多々良木兵長。「日本ハ、タクサンノ顔ヲ使イワケル国」とそれを共存という肯定的な意味で言うマイチャン。深い、深い。