遣唐使 東野治之

遣唐使 (岩波新書)

遣唐使 (岩波新書)

正式な国交がなければ、文化・経済交流も限られるという例として、漢字の発音が南北朝時代の音である呉音から唐代北方の標準音である漢音が主流となり、その後は、中国側の変化にもかかわらず、宋・元や明・清代の音である唐音は限定的にしか使われていないと指摘している。正式な国交のあった室町時代の日明関係でも、往来していたのは禅僧であり、中央の要人は渡航していない。「開かれた日本」論に対する牽制であり、遣唐使の意義を強調している。