環境問題はなぜウソがまかり通るのか 武田邦彦

環境問題はなぜウソがまかり通るのか (Yosensha Paperbacks)

環境問題はなぜウソがまかり通るのか (Yosensha Paperbacks)

温暖化対策を背景にした穀物価格の高騰(最近は投機もあるが)に伴う途上国の食糧不足や、通常の氷河の流れ込み映像の象徴的濫用など、温暖化問題はいかがわしいこと限りなしとは感じていたが、なんとなんと、である。分別させておいて大半は焼却か。ダイオキシンは、ニキビを起こす程度の毒しかないのか。ちょっと冷静に考えてみれば、太古以来ずっと人類は焚き火をしてきたのである。つじつまを合わせるためにPCBをダイオキシンの仲間に入れたのか。ベトちゃんドクちゃんの異常の原因が枯葉剤だとすれば、たしかに次々に第二第三のベトちゃんドクちゃんが現れるはずだ。海水の温度が上がれば南極の氷は増えるのか。氷河期の気温は22度で、今回騒がれている13度が15度になる程度は、どうということもない。もちろん、著者は環境問題がない、と主張しているのではない。温暖化自体が悪いのではなく、急激な変化が問題だと。そして何よりも、石油資源の枯渇(これは実はメジャーなりOPECなりの謀略論と思っていたけど)と食糧自給率の低さを憂えている。金儲けの業者、意図あるマスコミ、定見なく無責任な行政にまかせず自分の頭で考えること、が大事なのだ。