平安貴族の夢分析 倉本一宏

平安貴族の夢分析

平安貴族の夢分析

女流日記文学(主に『更級日記』が分析対象)に登場する夢は、後付けのようで実際に見たかどうか怪しい。摂関期貴族の日記は、蔵人頭から参議になるという最も多忙かつ人事に関心の高い時期に記載が多い。そして道長に見られるように、夢を口実に公務をさぼったりしつつ、やりたいこと(馬関連)はちゃっかりやる。「当時の科学技術の枠の中では、夢という不可思議な現象に対して、精一杯の冷静さでもって、科学的に対処していた」。