贈答と宴会の中世 盛本昌広

贈答と宴会の中世 (歴史文化ライブラリー 254)

贈答と宴会の中世 (歴史文化ライブラリー 254)

贈答と宴会で人と人とは結びつく。大規模な流通産業がない中世は、物を手に入れるのに買い物ではなく、贈答品を回す。そういう時代だったのだろう。室町将軍からの亥子餅の下賜のように、行事への参加は秩序への所属を、不参加は秩序からの離脱を意味した。また年中行事には、特定の日に上は幕府・朝廷から下は村落で同一の行事が行われていた。このことの持つ意味、さらに献上という行為を通じて、村落と天皇とが直接結びつくこともある意味(亥子餅)も大きいだろう。