ハンセン病反省なき国家 藤野豊

ハンセン病 反省なき国家―『「いのち」の近代史』以後

ハンセン病 反省なき国家―『「いのち」の近代史』以後

国の責任を中途半端では許さず、社会一般の差別意識に還元することを許さず、皇室の「御仁慈」が隠れ蓑として使われてきたという実態を指摘し、戦時中の南洋における患者虐殺という知られていない事実を明らかにする。熱意とそれに基づく迫力に、頭が下がる思いすらする。絶対隔離政策を推進してきた光田が遺伝要素を考慮したとしか思えない施策をとってきたことは、高山文彦の『火花』を読んだ際にも疑問に思い、そのままになっていた記憶があるが、光田は(そして絶対隔離に反対していた小笠原も)「体質遺伝」という考えを持っていた、というのは、納得できる見解である。