オレたち花のバブル組 池井戸潤

オレたち花のバブル組

オレたち花のバブル組

快作『オレたちバブル入行組』の続編。ここでは病気で挫折し出向先で苦戦しつつ自らを取り戻して戦う近藤に注目したい。現実にはそううまくはいかないだろうが、自ら立ち上がらないと、周囲の悪意につぶされるままになってしまう。「人生は変えられる。それには勇気がいる。ノーに比べれば、イエスは何倍も簡単なんだ。だけどな、サラリーマンがイエスとしかいえなくなっちまったとき、仕事は無味乾燥なものになっちまうんだ」。ちょっとクサいが、いい言葉だ。ところで、検査官の「黒崎駿一」だが、モデルであろう実在の有名な検査官も「オネエ言葉」なのだろうか。直前に『市場検察』を読んでUFJの事件について知った直後という偶然に我ながら、ちょっとびっくり。