戦国史の怪しい人たち 鈴木眞哉

博学小事典、という感じ。勝ったものは勝つべくして勝ち、負けた者は負けるべくして負けたという後付けの「天下人史観」を戒め、光秀や三成の怪物ぶりを紹介する一方、降倭の「紗也可」について、著者に取材し否定されたにもかかわらず「雑賀衆」ではないかという「妄説」を広めたNHKに対する痛烈な批判、そして、当時は近代のような「国」意識はなく、朝鮮や明に仕えるのも、東北の大名に仕えていて武士が九州の武士に仕えるようなものであり、岡本越後守についても「彼が明軍に仕えていることをいぶかしいなどと感じた気配はまったくない」と。なるほど。