ヤメ検 森功

ヤメ検―司法エリートが利欲に転ぶとき

ヤメ検―司法エリートが利欲に転ぶとき

朝鮮総聯ビル詐取という不可解な事件は、RCCによる債権回収逃れの架空取引が実態であった。元公安調査庁長官にして二つの高検の検事長まで務めた男が取り込まれる悪のネットワーク。また検事総長目前で女性スキャンダルに見舞われ、その後、得体の知れない人物の営業に取り込まれて気付かない男。山田洋行のオーナーの脱税がいつの間にかすりかわった守屋事件の背景で暗躍した元高検検事長。狭い世界で密接にOBと現役が交流する関西検察。なかなか闇が深い。そうしたなか、福島県知事事件で起訴事実を真っ向から否認させて後輩と対立も辞さず、検察捜査を批判する東京地検特捜部長経験者の元高検検事長のくだりは、共感が持てるものだった。