ドキュメント秘匿捜査 竹内明

ドキュメント秘匿捜査 警視庁公安部スパイハンターの344日

ドキュメント秘匿捜査 警視庁公安部スパイハンターの344日

ロシアGPUによる海上自衛隊幹部へのスパイ事件摘発を舞台に、警視庁公安部外事一課四係の戦いを描く。初めは開けた場所で会って警戒心を解き、自尊心をくすぐって協力者に仕立て上げ、完全に心理的に優位に立った後は、コントロールしていく、そのディテールがすさまじい。訓練も受けていない内調職員が、上司の指示というお役所的な事情でロシア大使館一等書記官を食事に誘い、取り込まれていくさまは、そこらじゅうにありそうで、馬鹿馬鹿しさも危機感を募らせる。佐藤優(としか読めない)を監視するラストは、彼がたとえ起訴事実は国策捜査だとしても、協力者だ、と示唆しているのだろうか。