交渉術 佐藤優

交渉術

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北方領土が返還されると日ロ間に懸案が無くなり日米同盟に支障が出る、というのが「アメリカスクール」の発想だそうだ。国是である北方領土返還要求にも、おひざ元の外務省の中でいろいろな意見があるものだ。ノンキャリア外交官を父に持つ大使が3代続くキャリア外交官の公使にレクサスを渡さないという「小さなエゴ」が、誰がここの主人なのかをわからせる、というのはエピソードとしておもしろい。ところで著者は高村外務大臣(当然1回目だろう)を評価しているようだが、その後に続く大物外相については、本文中に何度か客観的な記述があるにもかかわらず、評価なしだ。言及しないところに意味があるとすれば、…。